「藍染め」と聞くと日本独自の文化というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
藍染め文化は世界各地で育まれており、日本特有のものではありません。
日本で最も使用されている蓼科のタデアイも、日本原産の植物ではなく、中国から渡ってきたものです。
古墳時代から飛鳥時代の間に渡ってきたのではないかと考えられています。
世界の藍には、それぞれどのような相違点があるのでしょうか。
大きな違いは、植物の違いです。
日本を含む東アジアでは蓼科のタデアイを使いますが、これは全世界的にみるとごく少数です。
世界的に最も広い地域で使われているのはマメ科の藍で、一部は「インド藍」とも呼ばれています。
アフリカ、中央・南アメリカ、インドなどで使用されています。
沖縄や台湾、また周辺の島ではキツネノマゴ科の藍が使用されています。
そして、北ヨーロッパではアブラナ科の「ウォード」と呼ばれる藍を使用しています。
このように、科も異なる植物が藍染めに使用されているのです。
地域ごとに適応しやすい植物を使って藍染めが広がっています。
植物は違いますが、植物に含まれている色素と、染める際のメカニズムは同じものになります。
アフリカ、アジア、ヨーロッパが、シルクロードで繋がっていたためか、藍染めの手法も伝来したのかもしれません。
また、自然界で「青」を染めることは難しく、世界の人々が青を求める想いから、植物の色素をいろいろと探している中で藍染めが導き出されたのかもしれません。
藍(インジゴ)の元である成分インジカンは珍しい成分ではなく、比較的さまざまな植物に含まれるものなので、植物から青を染めることができそうだと、かつての人々が考えそうだということが想像できます。
日本国内ではタデ藍での藍染めを楽しみ、沖縄に行った際にはキツネノマゴ科で藍染めをしてみる。
そしてもしヨーロッパやアメリカなど海外に行く機会があれば、アジアに生息していない植物で藍染め体験すれば、藍染めマスターですね!
世界各地でそれぞれの藍染めが楽しめるのも、他の草木染めとはまた一味違う、藍の魅力かもしれません。