自然界には私たちの想像以上に豊かな色彩が広がっています。
古来より自然の恵みを生かした草木染めは、私たち人間の暮らしや文化に深い影響を与えてきました。
今回のコラムは日本の草木染めについての紹介です。
草木染めの魅力には、日本の四季がもたらす「色」にあります。草木染めは、植物が持つ天然の色素を用いて布や糸を染める技術です。
植物の種類によって異なる色合いや深みがあり、その美しさは人工的な染料では再現できないものがあります。
日本は古来より植物から抽出した色を重用してきました。
日本には四季があることから植物が豊富なため、色名も植物に由来する色が多く存在しています。
四季折々の景色や風物が色彩に幅をもたらし、染色技術や工芸品をはじめとし、多彩な色合いを魅せるようになりました。
日本人の感性や美意識は植物の色から育まれている部分も大きいのです。
日本の伝統的な染色技術では、主に植物から抽出した自然由来の染料が使用されてきました。
現代、大量生産の衣類などに使用される化学染料に比べて、天然染料は環境への負荷が少ないという特徴があります。
自然界からの恵みを使って染めることで、地球環境に配慮したサステナブルな染色方法として、草木染めは近年は再度注目を浴びています。
ただし使用する水の量が多いことや、天然の色素を定着させるために使用する定着液に有害物質が含まれることがある点は、化学染料のほうがかえってエコな部分があることも忘れてはいけません。
藍染めや草木染めなどの伝統的な染色方法は、長い歴史の中で地域の環境と調和しながら発展してきたため、大量生産型よりも地域に根ざした循環型のものづくりに適しているのかもしれません。
自然の恵みを生かした美しい染色技術である草木染め。
その豊かな色彩と手作業の温もりが、古来から現代まで時代を超えて、私たちに心地よい感動と豊かな暮らしをもたらしてくれるでしょう。