染色の歴史は、人類が自然と共に暮らす中で発展してきました。
このコラムでは、染色の起源と藍についての、魅力的な豆知識をお伝えします。
●染色の起源
人類の歴史の中で、染色はなぜ、いつ頃からはじまったのでしょうか。
起源は、自然に対する祈り、あるいは呪いのために「色」をつかうことがはじまりではないかといわれています。
炭や貝殻の粉、土などを使用して身体に塗りつけるようにして「色」を使うようになったのが、今から約1万年以上前と推測されています。
布に染色をされはじめるようになったのはもっと後のことで、起源前4000年から3000年にかけてのことだと推測されています。
藍をはじめ、アカネ、貝紫、クルミ、泥、石灰などが使われていたといわれています。
植物で染められた色とりどりの布たち
●世界で1番古い布は藍染め?
現存する、世界で最も古い布は約4000年以前のもので、エジプトのピラミッドから発見された藍染めの麻布です。
4000年以上前の人も、緑色の葉から青色を見つけていて、その技術がいまもなお人々に愛されていることを思うと、すごいことですね。
藍はまさに”人類最古の染料”と称される長い歴史を持っていることがわかります。
●世界各地の藍事情
エジプトで最古の藍染め布が見つかったり、中国から藍の技術が日本へ伝わったりと、藍は世界各地で染料として用いられています。
藍染めは、日本、中国、台湾、インド、アフリカ、中南米、南フランス、イギリス、エルサルバドル、メキシコ、マダガスカル、インドネシア、ボルネオなどで行われています。
各地で植物の違いや、染料の作り方の違いがあります。異なるプロセスですが、同じ「藍色」を引き出すことを目的に、多様な藍文化が世界で育まれてます。
日本では蓼科のタデアイ、インドなどの亜熱帯ではマメ科のインド藍、ヨーロッパの寒帯地帯ではアブラナ科のウォードが使われています。
世界の藍については、藍の豆知識#11「世界の藍いろいろ」でも紹介しています。
ちなみに、藍染結の杜がある北海道も寒帯地帯ですが、このヨーロッパの藍であるウォードの目撃情報があるようですよ!
ただ、産業としては北海道でもタデアイを使用していることが殆どです。
藍染結の杜でもタデ藍を使用しています。染色の歴史は私たちの文化や生活に深く根ざしています。
布に触れることで、色と共に歩んできた人類の物語を通して、染色の神秘を改めて感じることができるでしょう。